女性パントマイムアーティスト/演技指導・振付・出演・教室
こんなところにパントマイム? 意外な場所に潜む無言の表現力
こんにちは、芸能事務所トゥインクルコーポレーション所属、パントマイムアーティストの織辺真智子です。
前回まで、「パントマイムって何?」についてお話ししてきました。ざっくりと書くと、パントマイムは、言葉を使わずに体や表情だけで気持ちや物語を伝える、演劇の一種です。セリフのある演劇と比べると、表現方法が大きく異なり、体の動きは誇張され、小道具をほとんど使わないシンプルな舞台で演じられることが多いんです。
そんなパントマイムの要素は私たちの日常生活の中にも隠れています。また、その技術や表現方法は、さまざまな芸術分野で活用されています。
異文化と言う見えない壁を華麗にスルーして、あちこちにチョコチョコっと入りこむ、意外と身近なパントマイム。今回はどんな芸術や文化の中にパントマイムの要素が見つかるか、色々紹介していきますね。
お笑いの世界
パントマイム、と聞いて「チャップリン」を思い浮かべる方もいらっしゃるかと思います。そう、古よりコメディとパントマイムはなかよし。コメディ・お笑いの世界では体の動きを誇張したり、予想外の表情で観客を驚かせたりして笑いを誘います。日常的な動作を面白おかしく表現するときにパントマイムの身体表現要素が一つのエフェクトとして使われていることがありますよね。
私自身のパントマイムレッスンにも、習いに来られる芸人さんが今までいらっしゃいました。技術はもちろんお教えしますが、あの、芸人さんの発想はですね、すごすぎてすごいです。
ダンスとパントマイムの融合
ダンスの技術の中に、パントマイムで使われる身体表現技術と共通項がたくさんあるので「パントマイムはダンスの一種」と思われている方も結構いらっしゃいます。
感情や物語を体で表現する技術が組み込まれ、特殊な動きを組み合わせて独自の振り付けやイリュージョンが生み出される。身体表現の技術が優れたダンサーによる高い精度のテクニックがリズムにビシッと合うととても気持ちが良いですよね。
映像とパントマイムの相乗効果
映像においては、カメラワークと身体表現を組み合わせることで、より細かい表現が可能になります。CGや編集技術と組み合わせ、よりファンタジックで意外性のある動きを表現することができます。
私自身は、振付アシスタントとして、CMで、AIの最新技術や目に見えない宇宙の粒子の表現などを人間が表現する、というお仕事をさせていただいたことがあります。
CMは面白いお仕事がたくさんあって・・・「パントマイムアーティストだからできるっしょ」と言う理由で「人間がCGのスタンドインをする」とか「クレイアニメーションの人形の役として、1cmずつ動いて写真に撮られていく」とかいろんな経験があります。シビアな技術が必要とされ、守秘義務があるものばかり。とても疲れますが、全部楽しかったなって思っています。
舞台芸術を彩るパントマイム
舞台芸術では、パントマイムの技術がさらに発展し、照明や音響効果を駆使して独特の雰囲気を作り出します。複数の演者が協力して一つの世界観を表現したり、観客との相互作用を取り入れてその場限りの表現を生み出したりと、パントマイムの要素が舞台芸術をより魅力的なものにしているのです。
オリンピックが魅せたパントマイムの力
そうそう、東京オリンピックの開会式で、ピクトグラムのパントマイムの様子を覚えていらっしゃる方もおられるのではないでしょうか。最近の中では「おおパントマイムだ」と盛り上がったトピックではないかな・・・覚えていらっしゃる方いますか?
コロナ禍で大変な時期で全部映像にすることだって出来るようなものを、わざわざ、生で演じる。カメラマンもわざわざ一緒に走る。わちゃわちゃと急ぐ。うっかり「失敗か?」みたいな演出も入る。
身体表現でピクトグラムを演じているのが印象的で、一生懸命精度の高いピクトグラムを制限時間内にゲームのようにこなしていく姿は日本人らしいしコミカルだし、ちょっと欽ちゃんの仮装大賞みがあって、見た時に、この・・・なんかちょっとスマートじゃない、人力で一生懸命やっていることの表現自体が一つの魅力なんだな、と思ったものです。
当時、少し賛否両論になっている感想はみましたが、個人的には、すぐに知り合いだってわかったのもあって(タイツは着てたけど、身長差が特徴的な方々なので 笑)、パントマイムだよ〜って思って、嬉しかったです。
このように、パントマイムは多様な芸術分野に浸透しています。
その「言葉を超えた普遍的なコミュニケーション」としての力は、AIやデジタルの時代になっても新たな表現の可能性を広げることができるんじゃないかな・・・できたらいいな、と願っています。
コメント